どうして今、金に注目が集まっているのですか?
株式や債券のように信用を基盤とする資産と違って、金は自らに価値がある「実物資産」として長年認められてきました。歴史を振り返っても、金が完全に無価値とされたことは一度もありません。
紙の資産は経済や政策の動向に左右されやすい一方で、金は経済不安や信用不安が強まる局面にこそ存在感を発揮します。そのため、両者の値動きはしばしば逆になります。
この性質によって、金は資産全体のリスクを和らげ、長期的な安定を補う役割を担ってきたのです。
金をどのくらい持つのが目安ですか?
資産全体のうち10~15%程度を金で保有するのが一般的な目安とされています。各国の外貨準備に占める金の比率も世界平均で12~13%であり、一定の根拠を示しています。
ただし、資産の意味づけやリスクへの考え方は人によって異なります。資産を築く段階にある方と守る段階にある方では、望ましい配分が変わるのは自然なことです。
若年層であれば金の比率を高める必要はあまりありませんが、老後を見据える方や資産保全を重視する方は15~20%程度まで引き上げる判断も妥当です。
金は無価値にならない一方で、価格変動や利息がつかないという特徴もあります。こうした特性を理解し、自分のライフプランに沿って保有比率を考えることが大切です。
金を賢く活用するにはどうすればよいですか?
【指針1】
資産分散の“ひと枠”として位置づけましょう。預貯金・株式・不動産など、どの資産にも長所と短所があります。金も例外ではありません。したがって、金だけに偏らせるのではなく、ポートフォリオの分散先の一つとして組み込む発想が基本です。
【指針2】
余裕資金で、長期保有を前提に。 金は“いざという時”に効く守りの資産です。短期売買で利ざやを狙うのではなく、生活に支障のない資金を充てて腰を据えて保有する――このスタンスが望ましい付き合い方です。
【指針3】
購入タイミングを分散する。 相場商品全般に言えますが、まとまった資金を一度に投入すると価格変動の影響を強く受けます。経験に裏打ちされた自信がある場合を除き、資産形成の初期は何度かに分けて買うことで取得単価を平準化し、リスク分散を心がけましょう。
金地金と金貨は、どちらを選ぶべきですか?
【少額購入には金貨が適している。】
手元資金に合わせて少しずつ購入したい場合は金貨が便利です。プレミアムが上乗せされ割高ですが、少額から柔軟に取引できる利点があります。
【まとまった資金なら500g以上の金地金が有利。】
金地金は500g未満だと売買時に手数料が発生します。一定以上の金額で取引するなら、500gや1kgを選ぶことでコストを抑えられます。
【積立方式は有効な手段です。】
毎月一定額で購入する積立は、価格変動を平準化できる方法です。長期的に安定して資産形成を行いたい人に向いています。
資産として見たとき、金とプラチナはどう違いますか?
【通貨としての役割があるかどうか。】
金は通貨やその裏付けとして利用されてきた歴史を持ち、各国の中央銀行に保有されています。プラチナにはそうした実績がなく、資産としての位置づけに差が生じています。
【値動きに差があるのかどうか。】
プラチナは市場規模が小さく流動性も限られるため、価格の変動幅が大きくなりやすい傾向があります。金は市場が厚く、安定した取引基盤を持つため相対的に値動きは穏やかです。
【資産防衛に役立つかどうか。】
工業需要への依存度が高いプラチナは景気に左右されやすい資産です。金は逆に不安定な局面で買われる傾向があり、資産防衛の役割を果たします。
金地金と金先物の違いは何ですか?
【実物を伴うかどうか】
金の現物取引は金地金や金貨といった実物を直接保有する方法です。価格変動リスクはありますが、手元に実物資産が残るのが特徴です。ペーパー取引は実物の受け渡しを伴わず、差額決済による取引となるため性質が異なります。
【長期保有か短期保有か】
現物の金は長期的な資産保全に適し、保有税も基本的にかかりません。先物や証拠金取引は短期売買を前提とするため、リスクも大きいですが短期利益を狙う投資家には活用されています。
